健康寿命とは人が健康に生きられる期間の長さのことを指す言葉だ。病人や怪我人、高齢者と日常的に接する看護師にとっては縁の深い概念と言えるだろう。患者の介助を行うのが看護師の仕事だが、間違った看護ケアで人の健康寿命を縮めてしまう可能性もあるのだ。正しい看護を行うためにも、健康寿命に及ぼす看護の影響と問題点、改善点を確認しよう。

看護を必要とする人は身体機能に不調を抱えていることが多い。ゆえに看護師の仕事には、介護といって差し支えないような日常生活の補助も含まれる。気をつけなければならない点はここだ。本当に必要な補助はもちろん行うべきだが、何もかもを手助けしてしまうと、本来であれば努力すればできることも自分で行わない状況に陥ってしまうのだ。身体は適度に動かしていなければ少しずつ衰えてきてしまうので、かえって健康寿命を縮めてしまいかねない。看護の際には補助が必要なのか否かをしっかりと見極める必要があるだろう。

また、看護の際にはその人の気持ちを前向きにさせる必要もある。突然通院が必要になったり、入院したりすると気持ちは沈みがちになってしまう。そのネガティブ思考がこれから先の自身の健康さえも諦めてしまうこともあるようだ。

しかし、病気や怪我をしたとしても、その先の健康寿命がゼロになるわけではない。健康は取り戻せるもの、これからも維持できるもの、ということを会話やリハビリの中で伝えていくことが重要だ。看護を通して健康寿命をすり減らすのではなく、延ばしていけるように接する必要があるだろう。