厚生労働省が作成した簡易生命表によると、2018年の日本人男性の平均寿命は81.25歳、女性は87.32歳と過去最高を更新したことがわかった。内閣府が公表する高齢社会白書データによると、2060年には男性の平均寿命は84.19歳に、女性は90.93歳にまで伸びることが予測されている。

一方、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされる健康寿命は、2016年時点において、男性が71.19歳、女性は74.21歳となっている。これらのデータを総合すると、平均寿命が延びているとはいえ、老後には男女とも、なにがしかの体調不良を抱えながら、生活を送っていると考えてよいだろう。

平均寿命が延びているとはいえ、長期間にわたる生活制限を余儀なくされる状況では、豊かな高齢化社会を達成できているとは言い難い。こうした現状を打開する方策としていま注目を集めているのが予防医学といった考え方だ。この予防医学とは、健康なうちから病気になりにくい心身を育み、健康に生活できる期間を少しでも長く伸ばそうという取り組みと考えてよい。こうした健康寿命の増加には、「バランスのとれた食事、規則正しい生活リズム、適度な運動、十分な休息」が大切だと考えられている。

さらに定期的な医療機関への受診などを通じて、早期に心身の異常を発見し、すみやかな対策を講じることも重要だ。健康寿命を延ばすための習慣として、年に1度は必ず健康診断を受ける、歯周病治療などを通じて口腔衛生の向上を試みるなど、手軽に始められるものも多い。健やかな老後を達成するには、予防医学の知識習得と健康寿命を延ばす取り組みにも力を入れてゆくべきだろう。